中古マンションでは、マンションの見学をすることを「内覧会」と言いますが、新築マンションでいう「内覧会」とは、マンションの引き渡し前に、正しく施工されているかどうかを確認するための会です。
でも、なかなか初めてマンションを買う場合など、どこをチェックしたらよいのかわかりづらいですよね。そのために、内覧業者に同行してもらうと良いという話を聞きます。
目次
内覧会の同行業者とは?
新築マンションの内覧会に立ち会うサービスを提供している業者のことを、内覧会の同行業者と言いますが、主に、一級建築士の資格を持った業者が多いようです。
一級建築士とは、国土交通大臣から「一級建築士」の名称を用いて、設計・工事監理等の業務を行うことが認められた専門家のことです。複雑・高度な技術が必要となる建築物の設計や工事監理が行える建築士の中でも上級の資格ということなので、内覧会に同行してもらえば安心できそうです。
内覧同行業者に依頼をすると、数十万はかかりますが、素人では発見できない瑕疵を見つけてくれるかもしれないのですから、安いものですよね。
本当に安いものでしょうか?
新築マンションの内覧会は引き渡し前に行われますので、内覧会とはマンション竣工後のチェックということになります。したがって、基本的には内装の施工チェックを行うものであって、構造や共用部工事などのチェックを行う会ではありません。構造や共用部の施工チェックは、完了検査といって全くの別物です。
つまり、この段階で、万一、一級建築士がしたり顔で「構造が不十分でどうのこうの」と指摘したところで、マンションの構造を直ちに修繕するということはありません。完了検査を経ている以上、その部分には問題がないことが前提ですので、完了検査の結果を覆すに至ることは、まずないでしょう。
とすると、数十万円かけて何をチェックするのでしょうか。
内覧会でのチェック事項
新築マンションの内覧会でチェックすべき事項としては、主に次のようなものがあります。
誤った施工はないか?
そもそも予定とは異なるところにエアコンダクトの穴が開いているとか、聞いていたのと壁のクロスの色が違う。注文したオプションが設置されていないなど、施工の誤りを指摘します。
バルコニーの排水溝のグリルがボルトで留まっておらず、しかも良く見るとボルトが中折れしたまま放置されていたこともありました。
施工中に誤ってついた傷はないか?
いろいろな施工業者が工事のために部屋に入ります。そのため、後から入った施工業者がその前に完了している施工箇所を破壊してしまうことがあります。
私の経験上、バルコニーのアルミの手すりが、がっつりへこんでいたこともありますし、フローリングに工具を落とした跡があったこともありました。
複数の施工業者が施工した部分のつじつまが合っているか?
キッチンの吊り戸棚を取り付けた後で、煙感知器を付けたため、吊り戸棚の扉が煙感知器にぶつかって開かないなどということ経験があります。
また、エアコンの排水穴の位置と、バルコニーの床の排水溝の位置があってなかったケースなど、指摘をしたら、工事業者に「勉強になりました」と言われる始末。
予定と施工が変更になった部分はないか?
通常であれば図面上で説明を受けますが、変更箇所については実物を見ても確認しておくことをお勧めします。
まとめ
目で見ればわかるところ、素人でチェックできそうなところ、内装のチェックをする分には無理にプロに頼む必要はないかもしれません。
一方で、内装に隠されて見えなくなっている構造の問題や、施工の詳細などについて確認が必要なのであれば、プロの力を借りた方が確実だと言えます。そのような個所を確認したいのであれば、内覧同行業者に依頼をした方が確実です。
ただし、必ずしも一級建築士である必要はありません。一級建築士の本来の仕事の内容では生計が立てられず、内覧同行をアルバイト的にやっているという業者も中にはいますので、内覧同行の実績がどれだけあるのかなどを良く調べる必要があります。
資格の有無よりも、内覧同行の実績を重視し、賢く業者を選択しましょう。